「特殊な加工が必要で、市販の工具では対応できない」「コスト削減や生産性向上のために、専用の切削工具を導入したい」。
こうした課題を抱える製造現場にとって、カスタムメイドの切削工具は力強いソリューションとなります。
しかし、いざオーダーメイドとなると、「見積もり依頼のハードルが高い」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。
「図面が完璧でなければ相手にされないのでは?」「専門的な知識がなくて、うまく要望を伝えられるか不安」「そもそも、何から伝えれば良いのかわからない」。
そうした不安から、見積もり依頼をためらってしまうケースは決して珍しくありません。
長野県茅野市に拠点を置く特殊切削工具メーカー、株式会社ハマツールは、そんなお客様の不安に寄り添い、一本一本の工具に「オンリーワン」の価値を込めてきました。
この記事では、ハマツールへの見積もり依頼のプロセスを具体的に解説し、お客様が抱える「見積もりの壁」を取り払うためのガイドをお届けします。
ハマツールの見積もりは「対話」から始まる
ハマツールが最も大切にしているのは、お客様とのコミュニケーションです。私たちは、単に図面通りに工具を製作するだけではありません。
お客様が抱える真の課題を理解し、最適な解決策を提案することを使命としています。そのため、見積もりのプロセスは、お客様の「困りごと」をヒアリングすることから始まります。
STEP 1: お問い合わせ・ヒアリング
まずはお電話、FAX、またはウェブサイトのお問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。この段階で、詳細な図面や仕様が固まっている必要は一切ありません。
- 「こんな加工がしたいんだけど、どんな工具が良いだろうか?」
- 「今使っている工具の寿命が短くて困っている」
- 「手書きのラフスケッチしかないけれど、相談に乗ってもらえる?」
- 「切削工具図面は無くて、部品図面(ワーク図)しかないんだけど…」
といった、漠然としたお悩みやご要望で構いません。弊社の経験豊富な営業担当が、お客様の状況を丁寧にヒアリングします。加工したいワーク(被削材)の種類、使用する機械の型式、現在お困りの点などを具体的にお伺いします。
【ヒアリングのポイント】
- 現状の課題: 工具の摩耗が早い、加工精度が出ない、加工時間が長いなど
- 加工内容: ワークの材質、形状、加工の種類(穴あけ、切削、溝入れなど)
- 使用環境: 工作機械のメーカー・型式、回転数、送り速度などの切削条件
- 目標: コストを下げたい、寿命を延ばしたい、品質を向上させたいなど
STEP 2: 最適な工具の設計と見積もり提案
ヒアリングで得た情報をもとに、弊社の設計チームがお客様の課題を解決するための最適な工具を設計します。
ハマツールの強みは、長年培ってきたノウハウと柔軟な発想力です。お客様の要求を満たすだけでなく、材質の選定、刃先の形状、コーティングの種類など、プロの視点から「プラスアルファ」の価値をご提案します。
例えば、「コストを抑えたい」というご要望に対しては、工具の材質を見直したり、再研磨しやすい形状を提案したりすることで、ランニングコストの削減に貢献します。
「とにかく精度を上げたい」という場合は、最新の加工機と熟練の技術を駆使した、ミクロン単位の精度を追求した設計を行います。
設計が完了したら、工具図面または簡易仕様図と合わせてお見積書を提出します。
なぜこの設計なのか、どのような効果が期待できるのか、専門用語だけでなく分かりやすい言葉で丁寧にご説明しますので、ご不明な点は何でもご質問ください。
STEP 3: ご注文から納品までの一貫生産体制
ご提案内容にご納得いただけましたら、正式にご注文となります。ハマツールでは、受注から材料手配、加工、検査、出荷までを社内一貫で管理する生産システム「HOPE (HAMATOOL Order and Production Exec.)」を構築しています。
これにより、各工程での進捗状況をリアルタイムで把握し、高品質な製品を安定的に、そして迅速にお届けすることが可能です。
【製造プロセス】
- ご注文: お客様との合意に基づき、正式に受注します。
- 材料手配: 設計仕様に最適な超硬合金やハイス鋼などの材料を国内外から調達します。
- 加工: 最新のCNC工具研削盤やプロファイル研磨機、そして熟練の職人技を融合させ、複雑な形状も高精度に加工します。
- 検査: 工程ごとに実施する工程間検査、そして完成した工具は、三次元測定器や画像測定器などを用いて、図面通りの寸法・形状であるかを厳しくチェックします。徹底した品質管理体制が、ハマツールの信頼の証です。
- 出荷・納品: 検査に合格した製品を、万全の梱包でお客様のもとへお届けします。
事例紹介:一枚のポンチ絵から生まれた、生産性を倍増させた特殊ドリル
ここで、実際にお客様とのやり取りから生まれた成功事例を一つご紹介します。
ある自動車部品メーカーの担当者様から、「新製品の部品に特殊な形状の穴を開けたいのだが、複数の工程が必要で時間がかかりすぎている。
手書きの簡単な絵しかないが、何とかならないか」というご相談をいただきました。
【お客様の課題】
- 穴あけ加工に3つの工程(下穴、面取り、本加工)が発生し、生産性が低い。
- 工程ごとに工具を交換するため、段取り時間もロスになっている。
- 正式な工具図面を作成する時間もノウハウもない。
【ハマツールの対応】
まず、営業担当がお客様の手書きのポンチ絵を拝見し、実際のワークや使用機械を確認しながら、詳細な要求仕様をヒアリングしました。
そして、「この3工程を1本で完結できる段付きドリルを製作できます」とご提案。ポンチ絵とヒアリング内容をもとに、弊社で正式な工具図面を作成しました。
設計のポイントは、切り屑の排出性を高めるための最適な溝形状と、各刃先の寿命を均一化するための刃径ごとの材質・コーティングの最適化です。まずはテスト用の切削工具を製作し、お客様のもとでテスト加工を実施していただきました。
初期の不具合等が無いかを確認していただき、最適な加工条件を見つけ出しました。
【導入後の成果】
完成した特殊段付きドリルを導入した結果、3工程を1工程に集約することに成功。工具交換の手間も不要になり、1部品あたりの加工時間は半分以下に短縮されました。担当者様からは、「あの手書きの絵から、ここまで高性能な工具ができるとは思わなかった。生産性が劇的に向上し、コスト削減にも繋がった。何より、親身に相談に乗ってくれたのが嬉しかった」と、高い評価をいただきました。
見積もりに必要な情報リスト(もしあればで構いません)
よりスムーズで精度の高いお見積もりのために、以下の情報をご用意いただけますと幸いです。
もちろん、すべてが揃っていなくても全く問題ありません。不足している情報は、私たちがヒアリングを通してお客様と一緒に明確にしていきます。
- □ 工具図面: (CADデータ、PDF、手書きのスケッチなど)
- □ ワーク(被削材)の図面・材質: (例: S50C, SUS304, アルミ合金A5052など)
- □ 加工内容の詳細: (どのような加工をしたいか)
- □ 使用する工作機械のメーカー・型式
- □ 現在使用している工具の情報: (メーカー、型番、課題など)
- □ ご希望の数量
- □ ご希望の納期
不安なままで大丈夫。まずはお声がけください。
カスタム切削工具の見積もりは、決して難しいものではありません。
むしろ、お客様の「こうしたい」という想いを形にするための、ワクワクするようなプロセスの第一歩です。
ハマツールは、「一本から」の多品種・小ロット生産を得意とし、お客様一人ひとりのご要望に柔軟に対応します。
図面がなくても、専門知識に自信がなくても、どうかご安心ください。私たちはお客様の最高のパートナーとして、課題解決に向けて全力でサポートします。
「こんなこと、頼めるだろうか?」そう思った時が、お問い合わせのタイミングです。ぜひ一度、あなたの「困りごと」をハマツールに聞かせてください。
そこから、ものづくりの未来を変える一本が生まれるかもしれません。
お問い合わせはこちら