古い設備や図面を使い続ける現場の「工具が手に入らない」リスクを解消
製造業の現場では、汎用工作機械や導入から長年使用されている設備が、今も主力として稼働しているケースが少なくありません。
しかし近年、多くの加工現場で顕在化しているのが廃番工具・カタログ落ち工具の増加です。
「これまで問題なく使えていた切削工具が突然手に入らなくなった」
「代替品を探したが、寸法や形状が合わず加工が止まった」
こうした状況は、二輪・四輪自動車関連機器部品加工、ロボット関連機器部品加工、ガスバルブ・エアコンバルブ・水道バルブなど住宅関連機器部品加工、さらには航空宇宙産業機器分野でも共通の課題となっています。
古い設備のため自由が利かず、工具の長さや太さに制限がある現場ほど、「工具が手に入らない」リスクは生産計画そのものを揺るがします。
「工具が手に入らない」リスクを特殊切削工具で解消
こうした課題に対する有効な解決策が、**特殊切削工具(オーダーメイド切削工具)**です。
特殊切削工具とは、既製のカタログ工具では対応できない形状・寸法・加工条件に合わせて、個別に設計・製作される特注切削工具を指します。
カスタムメイド切削工具(オーダーメイド切削工具)とも呼ばれ、設備や加工内容に最適化できる点が最大の特長です。
既製工具は汎用性を重視しているため、古い設備や特殊な加工工程では「合わない」「使えない」ケースが多くなります。
一方、特殊切削工具は設備ありきで設計できるため、供給不安の根本解決につながります。
「工具が手に入らない」リスクの3つの解決策
特殊切削工具による解決方法は一つではありません。
まず一つ目が、既存工具の再生加工。
摩耗した工具を再研磨し、必要に応じてチップ交換やコーティングによる耐久性向上を行うことで、工具寿命を延ばすことができます。
次に、カタログ工具をベースに追加工する方法。
完全な特注ではなく、既製品を活用することでコストを抑えつつ、設備に合った形状へ調整可能です。
そして最も根本的な解決策が、廃番工具の図面を再設計し、新たに製作すること。
古い図面をそのまま再現するのではなく、現在の加工条件や材料に合わせて最適化することで、安定供給と加工効率向上を同時に実現できます。
ハマツールでは上記3つの解決策はすべて対応可能です。
「工具が手に入らない」リスクを解消するための特殊切削工具の選び方

特殊切削工具の多くは、超硬材を用いて製作されます。
超硬ソリッド、超硬先ムク、超硬板チップロー付けなど、構造によって特長は異なります。
また、複合形状やカタログ非掲載形状を取り入れることで、
「カタログ落ち工具が生まれ変わる」設計も可能です。
大径工具と小径工具では、剛性や加工条件、価格の考え方も異なります。
そのため、加工内容を踏まえた上での設計が不可欠です。
ハマツールの特殊切削工具ソリューション

オーダーメイド切削工具の強みは、単なる再生では終わらない点にあります。
廃番工具の再生に加え、プラスアルファの形状を追加することで、加工効率や耐久性を向上させることができます。
株式会社ハマツールでは、特殊切削工具の設計・製作からアフターフォロー、再生加工まで一貫対応しています。
多様な要望に応えられる体制が、安定供給を支えています。
特殊切削工具と既製工具との違いとは
既製工具はすぐに入手できる反面、形状・寸法・材質の自由度に限界があります。
既製工具 vs 特殊切削工具 比較表
| 比較項目 | 既製工具(カタログ工具) | 特殊切削工具(オーダーメイド) |
|---|---|---|
| 設計の起点 | 工具規格が先 | 設備・加工内容が先 |
| 対応設備 | 標準的な新型設備向け | 古い設備・汎用工作機械にも対応 |
| 形状・寸法 | 規格内のみ | 自由設計(非掲載形状も可) |
| 工具長さ・太さ | 選択肢が限定的 | 設備制約に合わせて最適化 |
| 複合形状 | 基本的に不可 | 段付き・溝付きなど対応可能 |
| 加工安定性 | 条件調整で対応 | 剛性・刃形から安定化 |
| 工具寿命 | 標準的 | 再生・再研磨前提で長寿命 |
| コーティング | 汎用仕様 | 被削材・条件別に最適化 |
| 供給リスク | 廃番・仕様変更あり | 図面管理で継続製作可能 |
| コスト感 | 単価は安い | 総コストで有利になる場合多 |
| 向いている現場 | 新規設備・標準加工 | 古い設備・特殊加工・量産安定化 |
👉 既製工具は「合えば早い」
👉 特殊切削工具は「合わない問題を根本解決する」
チェックリスト|どんな現場なら特注すべきか?
以下に 3つ以上当てはまったら、特殊切削工具を検討すべき状態 です。
設備・環境に関するチェック
-
⬜ 汎用工作機械や導入から10年以上の設備を使っている
-
⬜ 工具の長さ・太さに制限があり、既製工具が合わない
-
⬜ 干渉を避けるため、突き出し量が長くなりがち
-
⬜ 設備剛性が低く、ビビりが出やすい
工具・調達に関するチェック
-
⬜ 廃番工具・カタログ落ち工具を使い続けている
-
⬜ 同じ工具を探すのに毎回時間がかかっている
-
⬜ 代替工具で無理に条件を落としている
-
⬜ メーカー都合の仕様変更に振り回された経験がある
加工・品質に関するチェック
-
⬜ 加工条件を上げられず、生産性が伸びない
-
⬜ 工具摩耗が早く、寿命にばらつきがある
-
⬜ チョコ停・段取り替えが多い
-
⬜ 再研磨しても精度が安定しない
コスト・運用に関するチェック
-
⬜ 工具単価は安いが、トータルコストが見えない
-
⬜ 再生加工を前提に考えたことがない
-
⬜ 工具管理が属人化している
チェック結果の考え方
-
0〜2個
→ 既製工具で問題なし。ただし将来的な供給リスクには注意 -
3〜5個
→ 廃番対策・再生加工の検討フェーズ -
6個以上
→ 特殊切削工具による設計見直しが強く推奨される状態
もしチェック項目に複数当てはまる場合、
現在使用中の工具が「たまたま動いているだけ」の可能性があります。
廃番・供給停止が起きる前に、再生や特注という選択肢を検討してみてください。
👉 「工具が手に入らなくなってから」では遅い
👉 違和感を感じた時点が、特注を検討する最適タイミング
古い設備や図面を使い続ける現場の「工具が手に入らない」リスクを解消。―導入事例
事例①|二輪・四輪自動車関連部品加工
廃番外径バイトの再設計で量産ラインを維持
課題
自動車関連部品を加工する現場では、長年使用してきた外径バイトがカタログ落ち。
同等品を探したものの、
-
工具長さが合わない
-
シャンク径が太く、古い旋盤に取り付けられない
といった問題が発生していました。
代替工具ではビビりが増え、加工条件を落とさざるを得ない状況でした。
対応内容
-
使用中だった廃番工具を実測・解析
-
古い設備の剛性と干渉条件を前提に外径バイトを再設計
-
刃形を見直し、切削抵抗を低減
-
再研磨を前提とした超硬材種を選定
導入効果
-
加工条件を元の水準まで回復
-
ビビり低減により寸法安定性が向上
-
廃番による生産停止リスクを解消
👉 「同じ工具を使い続けたい」ではなく
「同じ加工を安定して続けたい」ための再設計
事例②|ガスバルブ・水道バルブなど住宅関連機器部品加工
カタログ落ち工具の再生で調達不安を解消
課題
バルブ部品加工では、複合形状を一工程で加工できる専用工具を使用。
しかしその工具がメーカー統合により廃番となり、
-
工程分割による段取り増加
-
加工時間の増大
-
工具管理の煩雑化
が懸念されていました。
対応内容
-
既存工具の形状をベースに総形形状を再設計
-
設備制約を踏まえ、工具長さを最適化
-
摩耗しやすい部分のみ刃形を調整
-
再生加工(再研磨・コーティング変更)に対応した設計
導入効果
-
工程分割を回避し、従来通りの一工程加工を維持
-
工具寿命のばらつきが減少
-
再生加工による長期運用が可能に
👉 「カタログ落ち工具が生まれ変わる」典型的なケース
事例③|ロボット関連機器部品加工
古い設備でも使える特殊切削工具で品質を安定化
課題
ロボット関連部品の加工現場では、
-
古い汎用工作機械
-
狭い加工スペース
-
工具突き出し量が長くなりがち
という条件が重なり、既製工具では加工が不安定でした。
対応内容
-
設備に合わせてシャンク径・全長を最適化
-
複合形状を取り入れ、工具交換回数を削減
-
被削材に合わせたコーティングを採用
導入効果
-
チョコ停が減少
-
寸法ばらつきが抑制され、検査工数も低減
-
現場作業者の調整負荷が軽減
👉 「古い設備のため自由が利かない」現場ほど、特注の効果が大きい
事例④|航空宇宙産業機器部品加工
図面再設計による工具供給の安定化
課題
航空宇宙関連部品では、古い図面に基づいた特殊切削工具を使用。
工具メーカーの廃業により、同一工具の調達が不可能になりました。
対応内容
-
古い図面を読み解き、現行設備向けに再設計
-
加工条件を見直し、刃形を最適化
-
将来的な再製作・再生加工を見据えた図面管理
導入効果
-
工具供給を内製的に管理できる状態に
-
品質基準を維持したまま継続生産が可能
-
調達リスクを長期的に低減
👉 「一度作って終わり」ではなく、「今後も作り続けられる工具」へ
導入事例から見える共通点
これらの事例に共通しているのは、
-
廃番・供給停止が“きっかけ”
-
目的は「同じ工具」ではなく「同じ加工」
-
設備・加工・運用を含めて設計している
という点です。
特殊切削工具は、
トラブル対応ではなく、リスク予防のための手段として導入されています。
まとめ
廃番工具やカタログ落ち工具は、放置すれば生産停止のリスクとなります。
しかし、特殊切削工具という選択肢を知ることで、現場はまだ前に進めます。
「この工具、もう入らないかもしれない」
そう感じたら、まずは相談してみてください。