製造業の現場で今、最も切実な課題の一つが技術継承です。
長年の経験で培われた熟練の職人技は、まさに企業の財産。
しかし、それを次世代にいかに伝えていくか、多くの企業が頭を抱えています。株式会社ハマツールもまた、この課題に真摯に向き合い、独自の答えを見つけ出しています。
それは、職人技とNC(数値制御)技術の「融合」です。
経験の「見える化」とNCプログラミング
私たちの現場には、まさに「神業」と呼ぶべき熟練工がいます。彼らの手が生み出すミクロン単位の精度、その指先から伝わる金属のわずかな反応を読み取る感覚は、一朝一夕で身につくものではありません。しかし、この職人技を感覚だけに留めておくわけにはいきません。
ハマツールでは、熟練工の持つノウハウをNC技術で「見える化」することに注力しています。例えば、手作業で行われていた微細な面取りやR加工、あるいは複雑な形状の仕上げ方といった工程を、NCプログラムへと落とし込むのです。職人が長年の経験で導き出した最適な送り速度、切削条件、工具経路などを詳細に数値化し、プログラマーがそれをNCデータとして構築していきます。これにより、経験の浅い若手でも、熟練の技を再現し、安定した品質で加工を行うことが可能になります。
「なぜそうするのか」を伝える
もちろん、NCプログラムがあれば全てが解決するわけではありません。機械が指示通りに動くだけでは、トラブル発生時の対応力や、より高い精度を追求する「応用力」は育ちません。そこで重要になるのが、「なぜその加工条件なのか」「なぜこの工具を使うのか」といった、職人技の背景にある思考プロセスを伝えることです。
ハマツールの現場では、熟練工が若手に対して、NCプログラムの意図や、手作業での微調整の勘所、そして金属の特性や工具の摩耗といった要因が加工にどう影響するかをOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて丁寧に指導します。NC技術で再現できる部分は効率化しつつ、人間の感覚や判断が必要な場面では、職人技の本質を直接伝授することで、若手は単なるオペレーターではなく、自ら考えて加工ができる真の技術者へと成長していきます。
ハイブリッドな技術者育成
この「職人技とNC技術の融合」は、ハマツール独自のハイブリッドな技術者育成を可能にしています。最新のNC機械を使いこなせるデジタルスキルと、長年培われたアナログな職人技の感覚。この二つを兼ね備えた技術者こそが、これからのモノづくりを牽引していくと私たちは信じています。
私たちは、精密加工の未来を見据え、ベテランから若手へと脈々と技術のバトンをつなぎながら、お客様の期待を超える「精密加工技術」を追求し続けます。