2026年9月16日(水)、長野県諏訪市のホテル紅やで「信州エアロスペース・バレーフォーラム2026」が開催されました。
株式会社ハマツールも、NAGANO航空宇宙産業クラスターネットの会員企業として本フォーラムに参加しました。
今回のフォーラムは、2026年3月に長野県が策定した「長野県航空・宇宙機器産業振興戦略」に基づくキックオフイベントとして開催されたものです。
航空機産業に加えて、今後さらなる市場拡大が期待される宇宙機器産業へ、長野県内企業がどのように技術を展開していくのか。
本コラムでは、フォーラムで示された航空・宇宙産業の方向性と、そこで求められる「ものづくり」の技術について紹介しながら、ハマツールが特殊切削工具を通じて航空・宇宙産業を支えていく理由について解説します。
信州エアロスペース・バレーフォーラム2026とは?
「信州エアロスペース・バレーフォーラム2026」は、長野県航空・宇宙機器産業振興戦略のキックオフイベントとして開催されました。
当日は、
- 長野県航空・宇宙機器産業振興戦略の説明
- 多摩川精機株式会社による基調講演
- 宇宙機器産業チャレンジ促進事業の紹介
- 宇宙産業エコシステム形成に向けたパネルセッション
- 参加企業・関係機関によるネットワーキング
などが行われました。
長野県は、これまで航空機器産業の振興に取り組み、県内企業の技術力や品質保証力を蓄積してきました。
今後はその基盤を活かし、航空機器産業だけでなく宇宙機器産業へも展開することで、世界の航空・宇宙機器産業を支える産業集積の形成を目指しています。
長野県の戦略では、2035年の将来像として、航空機器産業では次世代航空機などのサプライチェーンにおいて存在感を発揮する企業群を形成し、宇宙機器産業では競争力や技術的優位性を持つ企業群の形成を目指しています。
長野県が目指す「航空から宇宙」への展開
今回のフォーラムで特に注目したいのが、航空機器産業と宇宙機器産業を別々の産業として考えるのではなく、両者の技術を相互に活用していくという考え方です。
長野県の「航空・宇宙機器産業振興戦略」では、航空機器と宇宙機器には「小型・軽量化」「安全性」などの共通する基盤技術があり、これまで航空機器産業で培ってきた技術を宇宙機器産業に活用できるとされています。
また、長野県内には小型・軽量化を実現する超精密加工技術を持つ企業が集積しており、航空・宇宙機器産業に取り組むポテンシャルがあると評価されています。
つまり、長野県がこれまで積み上げてきた「精密加工」「品質保証」「ものづくり」の力を、次の成長分野である宇宙産業へつなげていくことが重要になっています。
基調講演から考える「宇宙を支えるものづくり」
今回の基調講演では、多摩川精機株式会社による「多摩川精機が切り拓くエアロスペース産業の未来~多摩川精機の宇宙事業への取組み~」が紹介されました。
多摩川精機は、高精度センサ、モータ、ジャイロなどの技術を基盤として、人工衛星やロケットなどに搭載される製品の開発・製造を長年にわたって行っています。
講演では、宇宙事業における実績だけでなく、宇宙特有の技術課題や小型衛星向け製品開発についても紹介されました。
特にものづくりの観点から興味深いのが、宇宙機器においても「機械加工・切削加工」が重要な工程の一つとして位置付けられていることです。
講演資料では、機械加工について、切削加工が中心となっており、チタン合金のほか、アルミニウムやステンレスなどの材料が使用されること、さらに材料データや寸法データが重要になることが示されています。
航空・宇宙分野では、製品そのものの性能だけではなく、使用する材料、加工精度、品質管理、トレーサビリティなど、製造工程全体で高い信頼性を確保することが求められます。
宇宙空間で使用される製品は、容易に修理や交換を行うことができません。
そのため、部品一つひとつの加工品質が、最終製品の信頼性を支える重要な要素になります。

航空・宇宙産業で重要になる特殊切削工具
航空宇宙関連部品の加工では、一般的な量産部品とは異なる加工課題が発生します。
例えば、
- チタン合金などの難削材加工
- 複雑形状の高精度加工
- 微細形状・小径部の加工
- 加工精度の安定化
- 工具寿命の向上
- バリや欠損などの加工不良対策
- 少量生産・試作への対応
などです。
特にチタン合金や耐熱合金などは、高強度・高耐熱性といった優れた特性を持つ一方で、切削加工では工具への負荷が大きくなります。
ハマツールのこれまでの技術コラムでも、航空機部品加工における難削材や高精度加工について取り上げてきました。👉既存コラム「難削材加工のオーダーメイド切削工具」
航空宇宙分野では「削れるかどうか」だけではなく、「安定して同じ品質で削り続けられるか」が重要です。
そこで重要になるのが、加工対象に合わせて工具を設計するという考え方です。
市販工具をそのまま使用するのではなく、工具径、刃先形状、逃げ角、溝形状、刃数、工具材質、コーティングなどを加工条件に合わせて最適化することで、加工の安定化や工具寿命の改善につなげられる可能性があります。
ハマツールでは、航空宇宙関連を含むさまざまな産業分野に対し、1本からのオーダーメイド特殊切削工具に対応しています。
「工具」から航空・宇宙産業を支える
航空機や人工衛星、ロケットという最終製品を見ると、切削工具は表舞台に出てくる存在ではありません。
しかし、それらを構成する部品の多くは、素材から精密な形状へと加工されることで初めて製品になります。
つまり、部品を加工するための「工具」もまた、航空・宇宙産業を支える重要な技術の一つです。
特に航空・宇宙分野では、部品の形状や材質、加工条件が案件ごとに異なるケースがあります。
そのため、既製工具だけでは加工条件に対応しきれない場合があります。
このようなときに力を発揮するのが、特殊切削工具です。
ハマツールでは、お客様の図面や加工条件、ワーク材質、設備などを確認し、必要に応じて工具形状そのものから設計します。
「この形状を一工程で加工したい」
「市販工具では加工が安定しない」
「小径部の加工精度を高めたい」
「工具寿命を改善したい」
といった現場の課題に対して、単に工具を販売するのではなく、「どうすれば実現できるか」を考えながら工具を設計・製作します。
これは、ハマツールが長年取り組んできたオーダーメイド特殊切削工具の考え方そのものです。👉既存コラム「航空機部品加工における特殊切削工具の最新トレンド」
NAGANO航空宇宙産業クラスターネットの一員として
ハマツールは、NAGANO航空宇宙産業クラスターネットの会員企業として、長野県の航空・宇宙産業の発展に関わっています。
NAGANO航空宇宙産業クラスターネットは、長野県内の航空宇宙産業に取り組む企業、参入を目指す企業、大学、試験研究機関、産業支援機関などが連携し、バリューチェーンの強化に取り組むネットワークです。
今回のフォーラムでも、企業単独ではなく、地域の企業や研究機関、支援機関がつながりながら航空・宇宙産業を発展させていく方向性が示されました。
航空・宇宙産業では、一社だけですべてを完結させるのではなく、それぞれの企業が持つ技術を組み合わせることが重要です。
切削工具についても同じです。
部品メーカーが抱える加工課題に対して、工具メーカーとして技術面から解決策を提案する。
その積み重ねが、地域全体のものづくり力の向上につながると考えています。
長野県の「航空・宇宙」産業とともに、ハマツールも挑戦を続けます
長野県の航空・宇宙機器産業振興戦略では、2035年に向けて、航空・宇宙機器産業を支える企業群の形成を目指しています。
一方、宇宙機器産業への参入には、専門人材、参入ルート、品質・信頼性評価、試験環境など、さまざまな課題もあります。
こうした課題に対応するため、長野県では「令和8年度宇宙機器産業チャレンジ促進事業」を実施しています。
同事業では、宇宙関連産業の市場動向や参入構造の整理、県内企業の技術・製品・実績の整理、具体的な参入ルートの可視化などを進めています。
さらに、2026年10月から2027年1月にかけて、宇宙機器産業への新規参入・事業化を促進する「NAGANO宇宙ものづくり塾」も予定されています。
航空から宇宙へ。
長野県のものづくり企業にとって、これから新しい技術やビジネスにつながる機会が広がっていくことが期待されます。
ハマツールも、特殊切削工具の設計・製作を通じて、こうした産業の発展を支えていきたいと考えています。
航空宇宙関連部品の加工でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
「市販工具では対応できない」
「特殊形状を加工したい」
「難削材の加工を安定させたい」
「小径・微細加工に適した工具が必要」
「既存工具を改造・再生して使いたい」
など、具体的な加工課題に合わせて、ハマツールが特殊切削工具の設計・製作からアフターフォローまで対応します。
航空・宇宙産業の未来を、切削工具から支える。
ハマツールは、長野県のものづくり企業の一員として、これからも「できない」を「できる」に変える特殊切削工具づくりに挑戦していきます。👉既存コラム「特殊切削工具の設計から製作まで」
航空宇宙関連の特殊切削工具についてのご相談・お見積もりは、ハマツールまでお気軽にお問い合わせください。
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